キャリアの自律を定着という視点から考えてみると、役割経験、立場経験などキャリアを築いていくための貴重な体験が見えてくる。
人材育成に欠かせない視点として、企業で働き続ける力、定着とは、その必要性とはをキャリアコンサルタントが開設していきます。
1.企業に人材が定着することに興味を持った理由
2.定着できない理由
3.人材が定着しないことについてのデメリット
4.人材定着に必要なこと
5.まとめ
1.企業に人材が定着することに興味を持った理由
キャリアコンサルタントとしての最初の仕事がジョブカフェと呼ばれる若年者対象の就業支援施設で働いたことがきっかけになっている。
私がジョブカフェでキャリアコンサルタントとして働きはじめた頃には、キャリアコンサルタントの資格取得者が対応しているのではなく、企業の元人事経験者や公立高校の元教員の方々が若者(当時は35歳まで)の仕事の相談に乗っていました。
そのため、離職を余儀なくされた若者に対しても「根性がない!」、「最近のわかものは・・・・」という言葉が飛び交っていました。
しかし、ジョブカフェにくる若者の話をじっくり聞いていると若者だけの理由ではないことがわかりました。企業側にも問題があることがわかりました。
企業側に問題があったとしてもやはり離職によるリスクを受けることにはかわりはありません。早期離職によってのダメージから非正規社員になる方、離職をくりかえす方、年齢と仕事経験のバランスが悪いか方など、様々な課題を抱えている事に気づいたのがきっかけです。
どうすれば、定着できるのか?
2、定着できない理由
人材が定着できない理由は、企業によって様々ですが、大きくは3つに分けられます。
①勤務条件が悪い。(休みが少ない。給料が安い)
②人間関係が悪い。(上司・先輩からの様々なハラスメント。職場になじめない。)
③理念が合わない。(企業理念に納得できない。オーナーがワンマン)
人が長く務めることは、根性論だけではすまされない問題があります。特に、少子高齢化が進んできた日本では、重大な課題です。
時代とともに、育ってきた環境が変わり、人の価値観も多様化してきています。また、核家族化によって、世代間のギャップも大きくなってきています。
それを根性論に摺りかえることは、少し違っているようにも感じます。
勤務条件も事前にわかっているのでは?と思われる方もいらっしゃいますが、人手不足のために休みなく働くとか。サービス残業が当たり前になっているとか、24時間働くことが素晴らしいというリゲイン社員など
私も以前は、リゲイン社員で目標達成のためプライベートを犠牲にするのは当たり前って思ってがむしゃらに働いた結果、身体を壊してしまうなどの結果になってしまいました。
また、定着できない理由で特に多いのが、人間関係です。
価値観の違いによる誤解を多く発生しています。「仕事は盗むものだ!」とか「自分から積極的に聞きに来るように!」って言われますが、よく聞く話では、「何がわからないかがわからないから聞けない」「忙しそうにしているので、聞いたら悪い気がする」など。
上司や先輩社員の考えていることと、新人が考えていることにかなりのギャップがあります。その結果、信頼関係が築けないまま人間関係が悪くなってしまい、会社にいけなくなってしまいます。
その他、勤務条件にも関係してきますが、経営者・トップの考え方に納得ができないなどの理由も多くあります。経営者の中には、一緒に仕事をする仲間として従業員の満足度にあまり関心を持たれていない方もいらっいます。
大きくは、3つの理由ですが、なかなか厄介ですね。
3、人材が定着しないことのデメリット
人材が定着しないことのデメリットは、企業側では継続的に企業を発展させていくためのスキルが伸びないということ。人材が定着しないという企業イメージの悪化などがあります。
また、離職者側では、年齢と比例した経験がないことが大きなデメリットとしてあげられると考えています。
色々な方々を見ていると、テクニカルスキルは持たれていますが、ヒューマンスキルの面での物足りなさを私はいつも感じます。後輩の育成や部下を持った経験がない方などによるマネジメントスキル不足です。
人材が定着しない、定着できないことによるデメリットは、これからの時代の企業経営に響いてくると思っています。また、仕事を見つけるということにも様々な経験をしていない方にとって、年齢とともに仕事探しがしんどくなってきます。
4、定着に必要なこと
人材定着に必要なこと。それは、教育です。
企業も人も。
それぞれが、スキルを身につける必要があります。
企業は、人材を教育するスキル。人は、自律した人材になるスキル。
今後ますます、企業も人も自律が必要になってきます。自分で考え、行動していく。そのためには、企業も手助けをする。自分で考えられるまでの最低限の教育をするなどが必要です。
育てられたという経験を持っている人は、自分を育ててもらった経験を元に、人を育てる行動をとります。人材育成に用いられる手法としてのメンタリングの中では、メンタリングチェーンと呼びます。メンタリングチェーンが根付いている企業では、キャリア開発だけでなく、人間的な成長も期待できます。
5.まとめ
人材定着は、企業と人の双方の成長が期待できます。
人と会社の発展のためには、人をしっかり教育するシステム作りが重要になる。そのためには、今後ますます複雑化、多様化する時代に対応できる柔軟な発想ができる人づくりの教育こそが、人材定着の基本である。
① ジョブカフェは、各都道府県が所管する、若年者の能力向上・就職促進を目的に、職場体験や職業紹介等、雇用に関連したサービスを提供する支援施設。
②メンタリング(英語:mentoring)とは、人の育成、指導方法の一つ。 指示や命令によらず、 メンター (mentor)と呼ばれる指導者が、対話による気づきと助言による被育成者たる プロテジェ (protégé)ないし メンティー (mentee)本人と、関係をむすび自発的・自律的な発達を促す方法である。